子供の連れ去り・親子断絶・共同親権の問題が社会問題化しています。外国人男性と日本人女性の離婚の場合、子供の連れ去り問題が外交問題となりつつあります。
これらの問題の根底には、国際結婚のあり方や、日本人女性の外国人への憧れ、外国人男性の短絡的な日本人女性との交際等、根深い問題があると思います。
子供の連れ去りの問題の背景には、国際結婚やカルチャーギャップの問題があると思います。今回はそうした 根底にある諸問題について考察をしていきたいと思います。
日本での国際結婚
日本の国際結婚の離婚率は、日本の国内結婚の離婚率より高くなっています。これは、文化や言語の違いにより、異なる背景を持つ配偶者間のコミュニケーションや理解に困難が生じることが主な原因です。
また、日本では日本人女性と外国人男性との国際結婚が多く、これらの結婚は、特に離婚しやすいという研究結果も出ています。その理由の一つは、外国人男性と結婚した日本人女性が、性別の役割や家族のあり方についてパートナーと異なる期待を持っていることが多く、それが対立につながることがあるためと思われます。
言葉の壁は、カップルが効果的にコミュニケーションをとることを難しくし、誤解や恨みを長期化させる可能性があります。結婚、家族、性別の役割に関する文化的な価値観や期待の違いも、関係に緊張や負担を与えることがあります。
しかし、日本での国際結婚がすべて離婚に至るわけではなく、多くのカップルがこのような困難を乗り越え、成功し、充実した関係を築くことができています。効果的なコミュニケーション、相互理解、そして互いの文化の違いに妥協し、適応しようとする姿勢は、国際結婚を含むあらゆる結婚の成功の鍵となる要素です。
憧れや英語学習のためだけの外国人との交際
欧米系外国人は、日本人より背が高く、彫りの深い顔立ちで、愛情表現も豊かであるというイメージがあります。そして、欧米系外国人との交際や結婚がステータスだと感じる日本人女性も多くいます。更に、ハーフの子供がいることをステータスに感じる女性もいます。
また、日本では、英語はそんなに使いませんが、英語が話せるとカッコがいいというイメージがああります。外国人と交際すれば、英語が習得できるということで、外国人との交際を希望する人が一定数います。
外国人との交際や結婚が悪いことなわけではありませんが、結婚して子供ができたりすると、カルチャーギャップ、言語の壁等、現実的な問題に直面します。それを改善するための努力や覚悟が欠如していれば、同国人どうしの結婚より破綻する確率が増してしまいます。
欧米への憧れを逆手に取った不誠実な外国人男性
日本国内では、欧米系の外国人への憧れを持っていたり、英語を勉強しないといけないという脅迫観念から、欧米系の外国人との交際を憧れる女性が多くいます。
日本在住の欧米系男性の中には、そうした事情を知っていいて、不特定多数の日本人女性と関係を持つ人がいます。
アメリカ人男性の中には、アメリカの配偶者ビザを取得させる条件をちらつかせて、日本人のみならずアジア人女性やヒスパニックの女性を従属物のように扱う男性が中にはいます。
不誠実な外国人男性の真意を見抜けず、安易な気持ちで結婚した場合、子供ができた後、すぐに結婚が破綻するパターンが多くなります。
日本国外での結婚生活
欧米やオーストラリア、ニュージーランドで知り合った男性と、現地国で結婚生活を行う場合なら、相手がその国に社会的・経済的基盤を持っていることも多く、経済面での離婚・リスクは高くありません。
ただし、日本人女性側は夫の母国は外国ですから、安定した職業を得ることが困難です。語学習得や現地適用への努力を忍耐強く、継続する必要があります。
それができないと、挫折して、ホームシックになってしまいます。その時に子供がいれば、日本人女性のほとんどは、何がなんでも子供と一緒に日本に戻りたいという衝動にかられます。
無職や英会話講師の外国人夫
日本で知り合う欧米やオセアニア系男性は、英会話講師の場合が多いです。日本で、英会話講師をしている欧米系男性は、専門的な教育資格を有している場合を除き、安定した経済的基盤を持っているとは言えません。
日本人女性が、日本で欧米系男性と知り合って、日本で結婚生活を始める場合、外国人夫が英会話講師や低所得な職種のパターンが多くなってしまいます。そのような相手との結婚生活は、前途多難です。
夫が外で働き、専業主婦が当たり前という感覚が色濃く残る日本社会では、日本人女性にとって最初から非常にストレスの大きな生活が始まることになります。子供ができた後に、結婚生活がうまくいかなければ、日本人女性の多くは、当然のように子供を連れて別居を選択します。
国際離婚の実態
国際結婚の場合、主要な離婚原因の不貞行為や暴力や飲酒等の他に、カルチャーギャップに起因する離婚原因が追加されます。
共同親権制度が確立している国の出身者は、離婚しても子供との親子断絶にならないというイメージを持っています。一方で、日本は単独親権制度の国ですから、離婚を機に親子断絶となるケースが非常に多いのが現実です。
それが分かっているので、日本人同士の結婚であれば、子はかすがいと いうことわざがある通り、子供のために離婚を踏みとどまる ケースが多いわけです。
欧米系男性にはそうした危機感が希薄なため、日本人妻が子供を連れて別居してしまうと慌てふためきます。日本では、離婚問題を扱う弁護士が多数います。日本人妻が弁護士を雇えば、子供を連れた別居を正当化するために、いろいろな戦略を駆使することになります。
日本でよく発生する、子供を連れた妻の無断別居は、欧米系外国人夫にとっては、常識を超えた予期できない事態です。その結果は、そういう事態を許容する日本国家自体に不信感を持つようになってしまいます。
子供の連れ去りへの対応
日本国外から日本国内への子連れ別居は、国外では子供の誘拐として犯罪行為とされる場合があります。国際結婚していたカップルが日本で生活していた場合は、日本人同士のカップルと同じ扱いになります。日本では妻が無断で子連れ別居することはよくあることで、実質的に罰則はありません。
ただし、そういうことをすると、妻側が夫からの婚姻費用や養育費のサポートが受けにくくなります。妻側からすれば、そのリスクを取っているから、そのリターンとして子供を連れ去っているという感覚があると思います。シングルマザーで苦労して子供を育てるリスクを取ったのだから、子供を手元に置き 父親との面会交流も拒否するのが当然という感覚があると思います。
離婚原因
妻から、いきなり子供を連れて別居された夫の多くは、外国人か日本人を問わず、妻の不貞行為を疑います。
私達探偵業者の経験上、実際に不貞行為が原因で、子連れ別居となるケースは多くありません。かといって、夫があからさまにDVをしている事案も多くはありません。
夫側が、気が付かなかった小さなすれ違いが、大きくなって、妻の子連れ別居を誘引していることが多いかもしれません。
離婚原因の中には、不貞行為やDV以外に、意見の相違、侮辱、悪意の遺棄、虐待(言葉の暴力)等のすれ違いを含みます。そうした原因は、夫側が無自覚で、妻側が密かに不満を募らせていたパターンが多いのではないでしょうか。夫婦関係が悪化して会話が無くなっていると、夫側は、日本人の妻は子供を連れて勝手に別居する予兆を見逃しがちです。
国際的な子供の連れ去り
日本社会の伝統では、妻側が子供を連れて別居することにあまり違和感がありません。ただし、欧米諸国の多くでは、離婚後でも、父母共が子供との交流をしやすい法律が整備されています。そのカルチャーギャップがあるため、国際的な子供の連れ去りは、日本を含む非欧米圏と欧米圏の国との間でしばしば発生します。
日本人妻に子供を連れ去られた欧米圏出身の父親は、感情的になって、日本人妻の子供の連れ去りを未成年者略取誘拐であると避難します。彼らの母国では、その通りですが、日本では、別の法律があり、刑事事件として警察が積極的に捜査しずらい状況です。連れ去られた側は、この問題を国際外交問題として扱い、メディアを扇動して、日本を拉致国家であると報道させたりします。
まとめ
実際には、国際的な子供の連れ去りも、国際離婚問題の一つの側面です。こうした紛争を未然に防ぐためには、各国において、国際的なカルチャーギャップに関する教育を行うべきではないでしょうか。国際離婚となったときに、どうのような現実的問題が発生するかを教育的知識として持っていれば、交際から結婚に至るまでの過程の中で、両方の配偶者側で冷静な判断ができるものと思います。(※今回の例や問題設定は国際結婚の全てに当てはまる例ではありませんのでご了承ください。)