野球選手の大谷翔平氏の元通訳の水原一平氏が違法賭博スキャンダルと経歴詐称問題が話題となっています。今回は、アメリカでの個人情報の確認方法について解説します。
アメリカの個人情報データベース
アメリカでは、誰でも利用できる会員制のデータベースサービスを通じて、人物の情報を即座に確認できます。これらのデータベースは様々で、一般人が利用可能なものから、弁護士や探偵、債権回収業者などの専門職のみがアクセスできるものまであります。一般人向けデータベースでは、情報の正確さに完全な保証はありませんが、基本的な人物情報は得られます。含まれる情報には、氏名、年齢、親族、住所履歴、電話番号、メールアドレス、資格、破産歴、犯罪歴、交通違反歴などがあります。ただし、提供される住所や連絡先情報が最新のものでなかったり、全ての情報が網羅されてなかったりすることがあります。犯罪歴や交通違反歴については、可能性が高い情報とされており、それが本人の記録かどうかは自分で判断する必要があります。なお、学歴や職歴に関しては、ソーシャルメディアやウェブで自己公開している情報、または自営業者でない限り、個人情報データベースには情報が含まれません。
プライバシー情報の取り扱いが厳格な日本と比較すると、アメリカのこのような人物データベースの存在は異質で、文化的な違いが極端に出ている部分です。国際的に調査活動を行う私たちにとっては、日本や東アジア圏の個人情報の取り扱いが、世界から見れば、厳格過ぎる部類に入るものと感じています。西側諸国の探偵業者からも、日本を含む東アジアは、探偵業のブラックホールだと言われています。
水原一平氏のデータ記録
水原氏に関しては、以下のような記録が個人データベースで確認可能です。住所、電話、メールアドレスの一部を伏せ字にしていますが、実際にはこれらの情報を全て確認することができます。水原氏の両親が移民であるため、彼のデータはかなり限られており、社会保障番号（SSN）を取得した時期の情報がないこと、そして住所の記録が1か所しかないことが特徴です。これは、典型的なアメリカ人のデータ登録とは異なります。
- 氏名: Ippei J. Mizuhara
- 年齢: 1984年12月生まれ
- 可能のある親族:
- Chiharu Mizuhara, 61歳, Diamond Bar, California
- Hidemasa N Mizuhara, 64歳, Diamond Bar, California
- 住所履歴:
- 2002年8月9日 – 2024年1月3日: XXXXXXXXXXXXX, Diamond Bar, CA 91765-5449
- 電話: (310) 339-XXXX / (909) 861-XXXX
- Email: XXXXXX@gmail.com (2005年3月26日から有効)
- XXXX@YAHOO.COM (2007年3月27日から有効)
- XXXX@HOTMAIL.COM
- XXXX@AOL.COM (2010年7月2日から有効)
- 犯歴と交通違反歴:
- 可能性がある犯歴または交通違反記録（1件）
- 可能性が低い犯歴または交通違反記録（1件）
バックグラウンドチェック
アメリカでは、個人情報のデータベース確認とは別ですが、採用や取引の際に標準的なバックグラウンドチェックを実施するのが一般的です。主に以下の項目をチェックします。
- 身分証番号確認
- 犯歴
- 運転免許確認
- 交通違反歴
- 要注意人物リスト
- 学歴資格
- 職歴
- ドラッグテスト
学歴経歴詐称から虚言壁を見抜く
水原氏は賭け事に依存しています。薬物、賭け事、買い物、ホストクラブ狂いなど、さまざまな依存症を持つ人たちには、嘘をつく傾向があることが一般的です。彼らは、依存しているものを手に入れるため、またはその依存症を隠すために、嘘をついたり、借金をしたりします。一度嘘をつくと、それがばれないようにさらに嘘を重ねる必要に迫られ、困難な状況に陥ります。
このような人物が嘘をついている可能性があるかどうかを見極める方法の一つとして、彼らが提供した学歴や職歴の情報を検証することが有効です。例えば、水原氏はカリフォルニア大学リバーサイド校を卒業したと偽っていましたが、アメリカではNational Student Clearing Houseを利用して簡単に学歴を確認できます。依存症の人はトラブルを引き起こすことが多いため、重要な職位や取引には不向きです。そのため、バックグランドチェックを怠らず、念のために常にチェックする慣習を持つことが重要です。
クレジットチェック
水原一平さんがギャンブルの借金でお金に困っていたため、彼の素行不良を事前に察知するにはクレジットチェックが役立ったはずです。このチェックをするためには、水原さんの同意を得て、結果も彼に教える必要があります。こっそりとチェックするのではなく、彼にチェックのことを伝えて、同意を得た上で行います。特に、会社のお金を扱う仕事や、顧客の個人情報に触れるような職種の場合、候補者のクレジットチェックを行うことが推奨されます。クレジットチェックをする主な目的は、会社の資産、従業員、そして顧客を守るため、信頼できる人物を採用することにあります。クレジットチェックにより、支払いの履歴、借金の状況、破産や差し押さえの有無などを確認することで、応募者のリスク管理が可能です。
支払いが頻繁に遅れていると、その人が自己管理や責任感に欠けている、またはルールを守る意識が低い可能性があります。クレジットを過度に使用していたり、過剰な借金があったりする場合、その人が盗みや詐欺などの犯罪行為に走るリスクがあると考えられます。支払いを滞らせたり、完全に行わなかったりする人は、会社の資金や顧客の情報を管理する仕事には適していないと考えられるかもしれません。
違法賭博の胴元Mathew Bowyer
水原氏が取引していた、違法賭博の胴元の、1975年4月生まれのMathew Bowyer（マシュー・ボウヤー）氏についても、アメリカの個人データベースで、氏名、年齢、親族、住所履歴、自営の職歴、破産歴等が確認できました。その分析で、彼自身も賭博依存で破産歴のある破天荒な人物であることがわかりました。彼の経歴は以下の通りです。
Mathew Bowyer（マシュー・ボウヤー）は多岐にわたる経歴を持っています。彼は賭博の胴元（ブックメーカー）の前は、商品取引業者、害虫駆除業のオーナー、そしてブラジリアン柔術スタジオ「RYSK（リスク）」の運営者として活動してきました。彼は、現在、カリフォルニア州（サンフアン（San Juan Capistrano, California）に、4,500平方フィートの家を所有していますが、2011年には、ギャンブルの債務で破産しました。当時、彼は年収$65,652の、4人の子供を持つバツイチの父親で、2010年と2011年にラスベガス（Las Vegas）のコスモポリタン（Cosmopolitan）とアリア（Aria）のカジノで合計$425,000のギャンブルによる債務がありました。また、彼は3人の個人から合計$524,000の個人ローンを受けており、そのうち2人はオレンジカウンティ（Orange County）の登録不動産業者でした。これにより、資産が$879,000（主にアリソビエホ（Aliso Viejo）の自宅）であるにも関わらず、$200万の負債を抱えました。
さらに、彼はいくつかのカジノとトラブルを抱えており、支払いを怠ったり、不渡りチェックを出したりしたために訴えられています。アリアカジノは彼に対して$250,000の訴訟を起こしましたが、最終的には却下されました。彼の破産後、コネチカット州（Connecticut）のフォックスウッズリゾートカジノ（Foxwoods Resort Casino）は彼に$120万貸付したが、彼はその支払いを怠り、カジノから訴えられました。2023年にも、債務回収の訴訟が続いていました。彼はラスベガスのいくつかのカジノから出入り禁止となっていましたが、水原氏の賭博スキャンダルのFBI捜査の影響で全てのカジノから出入り禁止となっています。
まとめ
アメリカでは日本と比べてずっと多くの個人情報が公開されているため、雇用する人や取引する相手の情報を調べることが簡単です。そのため、採用者や取引相手のバックグランドチェックをしっかり行うことが大切です。水原さんの場合、もし早い段階で背景調査をしていたら、経歴に嘘があることが分かっていたかもしれません。それを知っていれば、お金を扱う仕事にはつけさせないようにできたでしょう。また、違法な活動をしているMatew Boyerさんの場合も、個人情報データベースで詳しい経歴を調べることができます。彼にはギャンブル依存症で破産した過去があり、自己管理ができない人物だということがわかります。
アメリカでは情報が豊富にあるので、仕事や取引をするときにはその情報を使ってしっかりと背景調査（バックグランドチェック）を行うことが大切です。これはリスクを管理するために必要です。日本でも、人のプライバシーを守ることは大切ですが、重要な役職に不適切な人が就くのを防ぐために、ある条件のもとで情報を公開する制度について考えるべきかもしれません。最近では、少子化を解決するために外国移民受け入れを加速させています。そのため、身辺調査（バックグランドチェック）の重要性がますます高まっています。
