国際的な子供の連れ去りの事例
子供の連れ去りに関しては、国際的な枠組みで用いられる専門用語が存在します。子供を連れ去られた側の親はLBP(Left Behind Parentの略)、連れ去った側の親はTP(Taking Parent)と呼ばれます。なお、子供の連れ去りのハーグ条約の正式名称(英語名称)は”Hague Convention Child Abduction”です。
この問題は、日本とヨーロッパ諸国の間では大きな外交問題に発展した為、日本の中央当局である外務省が積極的にサポートしています。そのため、探偵社に調査を依頼するよりも、ハーグ条約に強い弁護士を雇い、ハーグ条約の手続きの申し立てを行うのが得策です。
下記に具体的な手続きの流れをご説明いたします。
ケースA:海外から妻が無断で子供を連れ去り、日本に帰国してしまった。
国際的な子供の連れ去り問題では、連れ去られた親(LBP:Left Behind Parent)は、子供の連れ去りのハーグ条約(Hague Convention Child Abduction)に基づき、外務省に連れ去った親(TP:Taking Parent)から子供の返還を申し立てることができます。
連れ去られた親(LBP)は、自国の中央当局(日本の外務省にあたる)にハーグ条約の仲介を申し込みます。通常、LBPは、自国の弁護士を雇います。また、LBPは、連れ去った親(TP)と交渉する為に、日本での法的手続も必要となります。最終的にLBPは、日本の弁護士も雇う必要があります。
子供の連れ去りのハーグ条約は、2014年4月1日に日本で施行されました。施行されてから、短い期間しか経過していません。日本の弁護士は、相手方(日本人のTP)と交渉し、外国人依頼者(LBP)をコントロールする必要があります。この分野をきちんと扱える日本弁護士はいまだ少ないのが現状です。
Japan PIの顧問弁護士(Masako Banno, Attorney At Law)は、アメリカ人のLBPが日本人のTPに対して子の返還を求めたケースを扱い、日本で初めて、日本とアメリカの双方で強制力のある判決を取得。LBPへの子供の返還に成功しました。奥野総合法律事務所のウェブサイト内、2015年8月の新着情報欄に記載があります。
こうした案件は多くの場合、海外現地の中央当局→日本の外務省→日本の弁護士(日本の弁護士会の紹介制度)という流れになります。Japan PIでは、日本側での法的手続を短縮する為、ハーグ条約に強い弁護士をダイレクトに紹介することができます。
ケースB:許可を得て日本人妻が子供を日本へ連れ帰ったが、音信不通となった
LBPがTPに対して、子供を永久に連れて帰ることに同意している場合、ハーグ条約は適用されませんが、同意の内容によりハーグ条約が適用されることがあります。例えば、LBPがTPに1ヶ月間だけ連れ帰ることを同意し、TPが約束期日を超え、日本に滞在し続けた場合、帰国予定日を過ぎた時点で、連れ去り(留置:Retention)が行われたとみなされます。
また、TPが面会交流をストップした場合、LBPは、ハーグ条約に基づく面会交流(返還とは別)を申立てることができます。
LBPは、外務省の裁判外紛争解決手続き(ADR)も利用可能です。また、LBPは、その後に日本の東京地裁、または大阪地裁の審判手続を行うことも可能です。LBPは、外務省のADRを通さず、直接審判手続をすることも可能です。やや複雑ですが、外務省の国際的な子の奪取の民事面に関するハーグ条約の申し立てページに詳細があります。
子供の返還を嘆願する際、裁判所の手続きには、法制度の知識が必要なため、弁護士を雇う必要がありますが、外務省(日本の中央当局)が弁護士を見つけるサポートをしてくれます。以下がその連絡先です。
外務省、領事局、ハーグ条約室
住所:〒100-8919 東京都千代田区霞が関 2-2-1
電話番号:03-5501-8466 (+81-3-5501-8466)
メール:hagueconventionjapan@mofa.go.jp
お子様の居場所が分からない場合、まずは外務省に援助の申請をしましょう。居場所が判明した後は、お子様の返還申請手続きを行ってください。
ハーグ条約に沿って、お子様の返還申請手続きをする
http://www.courts.go.jp/osaka/vcms_lf/ofc_B01.pdf
子の返還申し立てに関する調停を利用する
http://www.courts.go.jp/osaka/vcms_lf/ofc_C01.pdf
ハーグ条約に沿って、面会交流に関する調停(審判)を申請する
http://www.courts.go.jp/osaka/vcms_lf/ofc_E01.pdf
外務省によるハーグ条約(国際的な子の奪取の民事面に関する条約、Convention on the Civil Aspects of International Child Abduction)の詳細
http://www.mofa.go.jp/fp/hr_ha/page22e_000250.html
TPと連れ去られた子供の所在
学齢期の子供がいる場合、通常、TPは子供の通学のために住民登録を行います。この場合、弁護士等が公簿の職権取得を行い、住所を判明させることができます。また、日本の外務省も、連れ去られた子供とTPの所在を特定する手続を行っており、それにより外務省の裁判外紛争解決手続き(ADR)や裁判所の審判手続を開始することができます。
親権や面接交流の決定で紛争に巻き込まれ、子供の虐待、育児放棄、アルコール中毒、麻薬中毒、精神病、ギャンブル等の証拠を収集する必要がある場合、Japan PIが調査を担当いたします。
TPが、ドメスティックバイオレンス(DV)があったと主張し、シェルターに入っているケースもあります。LBPは、それでも外務省の所在調査を申し込むことは可能です。外務省は、DVがあったかどうか調査の過程で判断します。例えば、TPが住民基本台帳上のDV被害者支援措置を申請していなかったり、TPの説明が不自然であったりした場合、外務省はLBPにTPの所在を報告します。
いずれにしても、LBPは、外務省に所在調査を申し込むのが賢明です。米国等では、親であっても子を連れ去ると犯罪です。これまで日本がそれを無視してきた為、日本は厳しく批判されています。その為、外務省はかなり積極的にLBPをサポートします。裁判所も、子供の連れ去りのケースでは、LBPへの子供の返還を積極的にサポートします。外務省は、法的手続に要する翻訳も無償で行う場合があります。法的手続での翻訳会社の料金は、20万円~30万円くらいかかることがありますが、外務省がこれを負担します。
ハーグ条約弁護士の紹介
なお、ハーグ案件では、弁護士は短期間で大量の作業を行う必要があります。Japan PIでは、複数の提携バイリンガル弁護士の中から、最適な弁護士をご紹介できる体制を整えております。
ハーグ条約(Hague Convention)以外でも、お子様の所在調査や映像撮影をご希望の場合はJapan PI にお任せください。親権や面会交流の紛争で、相手方の生育環境の証拠が必要な場合、弁護士の監督の元、子供の調査経験が豊富なJapan PIが責任を持って担当いたします。