利益相反について
探偵業法には、弁護士法のような利益相反の禁止の規定ははありません。
しかしながら、厳密に解釈すると以下の法令が問題となる可能性がある為、私達はモラル的な面でも利益相反となる案件を取り扱うべきではありません。
「探偵業の業務の適正化に関する法律」の10条に、「(秘密の保持等)第一〇条
探偵業者の業務に従事する者は、正当な理由がなく、その業務上知り得た人の秘密を漏らしてはならない。」という規定があります。
「業務上知り得た人の秘密」は、「依頼者の秘密」も含まれると解されますので、以前の依頼で知った秘密を、告知したり調査に利用したりしてしまうと、同条違反となる可能性があります。
また、探偵業は、民法の準委任契約(民法656条)(一般的には「業務委託契約」と呼ばれます)の一種ですが、準委任契約の受任者(調査会社)は、「委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務」を負います(民法644条)。対象者が元依頼者ですと、利益相反する新しい依頼者のために、上記のような「委任の本旨に従った」義務を十分に尽くせない(どんなに一生懸命やっても疑義が生じてしまう)可能性があります。
実例
私たちは、離婚と親権問題の調査で、夫からの依頼で、妻の不貞行為と子供の養育環境の調査を受任しました。
この依頼者は、Japan PIの報告書を元に、家庭裁判所で親権を争う訴訟を行いました。
調査対象となった妻側が、裁判所に提出されたJapan PIの報告書を見ました。
その後、彼女は、Japan PIへ連絡し、夫の側の不貞行為と2人の子供のうち一方を引き取っている夫の子供の調査について相談しました。
Japan PIは、彼女に、利益相反になることを通知し、他の探偵会社を紹介しました。