今回は、出会いサイトで知り合った不倫援助交際女性から脅迫されているパパ活男性の事件の対処法について、説明します。
事件の背景
アメリカ人男性Aは、多国籍のIT企業を経営しており、Sugar Daddy(パパ活援助交際)サイトを通じて日本人女性Bと関係を持っていました。男性Aは、過去1年位の間、日本、香港、シンガポール、ドバイなどでの出張を通じて女性Bと何度も会いました。女性Bが他国へ出向く際の旅費も含め、デートの度に高額の手当を現金で渡していました。しかし、女性Bの感情的な不安定さが目立つようになったため、男性Aは関係の終結を提案しました。女性Bはこの提案を激怒して拒絶し、もし関係を終えるならば、手切れ金としてUSD100,000 (約1,400万円)を要求しました。さらに、この金額に応じない場合や、関係を自然消滅させるという選択をした場合、男性Aの会社や妻に対してその関係を暴露すると脅したのです。
匿名アカウントによる誹謗中傷
男性Aは女性Bの脅迫に屈し、しばらくの間、関係を続けました。しかし、女性Bの感情的な不安定さに、彼は次第に耐えられなくなりました。ある日、男性Aは女性BのLINEアカウントを無断でブロックしました。その結果、匿名のInstagramアカウントから男性A及び彼の妻に対する誹謗中傷メッセージが送られるようになりました。その後、男性Aの職場の同僚のアカウントに対しても同様の攻撃が行われました。
SNSの脅迫の対処法
インターネット上で一時的に作成され、その後放棄されるアカウント(通称:捨て垢)を用いた誹謗中傷攻撃に遭遇した場合、以下の手順により対処することが推奨されます。
- 報告・アカウントの凍結: 不適切な行動を示すアカウントについては、SNSの管理者に報告し、そのアカウントの凍結を求めます。ただし、凍結させるだけでは別の捨て垢からの攻撃を防ぐことはできません。
- 証拠の保存: スクリーンショットを取るなどの手段で誹謗中傷の証拠を保存します。これは、後日法的手段を講じる際に重要な要素となります。
- 専門家への相談: 警察や法律専門家に相談し、相手の身元を特定し、刑事および民事責任を追及します。また、相手の基本情報が一部分かれば、探偵に依頼して詳細な身辺調査を行うことも有効な手段となります。
解決策
女性Bの脅迫をやめさせるため、男性Aは、以下の解決策を立案しました。
- 女性の身元特定(氏名と住所の特定)
- 捨て垢攻撃の証拠保全
- 女性に損害賠償請求する
女性の人探し・身辺調査
男性Aは、女性BとSugar Daddyのマッチングサイトを通じて出会ったため、彼は相手について、氏名、生年月日、居住地域の基本情報とLINE IDだけを把握しています。そのため、男性Aはプロの探偵業者を雇い、女性Bの現在の住所、世帯構成、勤務先などの情報を調査することに決定しました。探偵業者なら、氏名、生年月日、および居住地域の情報から現在の住所を特定することは可能です。ただし、提供された氏名や生年月日が虚偽であった場合、情報の特定は困難となり、調査の成果を得られないこともあり得ます。
捨て垢から身元特定する
この案件では、女性Bが脅迫を予告した後に、捨て垢攻撃が発生しています。が女性Bの仕業であることは疑う余地がありません。しかし、そうした明確な犯人像が不明な場合、捨て垢から相手の身元特定をすることになります。捨て垢に相手を特定する手がかりがあれば身元特定の調査が可能ですが、そうでないなら、サイト管理者への開示請求を求める法的手続きが必要です。その場合は、警察に告訴してが刑事捜査を依頼するか、弁護士に開示請求の書類手続きや訴訟提起を依頼するしかありません。
民事的な開示請求は以下の流れです。
- SNS管理者に「発信者情報開示請求の仮処分」を行う
- 開示されたIPアドレス・タイムスタンプなどからプロバイダを特定する
- プロバイダに「発信者情報削除禁止の仮処分」を行う
- プロバイダに「発信者情報開示請求訴訟」を行う
- 犯人に「名誉毀損による損害賠償(慰謝料)請求訴訟」を行う
ただし、SNSアカウントからの身元特定には、以下の要件があります。
- IPアドレスの保存期間は、おおよそ3ヶ月。攻撃から3ヶ月以内に手続きをする
- 捨て垢(アカウント)が削除されていない必要がある。もし削除されたら、IP照会は不可能。
まとめ
富裕な層を対象とした関係性の中では、一部の女性(通称:Sugar Baby)が定期的な経済的支援を期待しており、突如として関係が断たれた際には強く反応することがあります。この特異な関係構築のプロセスでは、男性側(通称:Sugar Daddy)は相手の連絡先がSNSアプリを介したものであることが一般的です。また、男性側が意図的に相手の詳細な個人情報を知らないようにすることも一部に見受けられます。しかしながら、これらの男性の中には企業経営者や公的な人物であるため、インターネット検索を通じて簡単に身元が露見することもあります。関係解消の局面で、女性側が脅迫に訴えるような状況に変わった場合、男性側が相手の詳細な身元を把握していないことから、適切な対応が難しくなることもあります。今回はそのような事態に陥った際の対処方法について説明を行いました。
人探しのニーズがありましたら、お気軽にご相談ください。