バイリンガル探偵は、海外の旅行保険会社の委託調査を行っています。旅行保険は、旅行中に発生した傷病や物損や盗難等を補償する保険です。保険委託調査の場合、調査スキル以外に、通訳翻訳スキル、異文化コミュにケーションスキルが要求されます。
旅行保険調査とは?
旅行保険調査は、旅行保険の請求に関連する状況を調査するプロセスです。被保険者の提出した証拠や証明書類、医療記録、目撃証言などを検証し、公正な保険金の支払いと保険詐欺の防止を目的として行われます。
海外保険調査の困難さ
言語、文化、法律の違い:まず言語の壁を解消する必要がある。各国には異なる保険業界のルールが存在し、文化障壁や法制度の違いで、現地の警察、医療施設、関連施設での照会や証言収集が制限される場合があります。地理的な制約:地理的ギャップで、被保険者や関係者へのアクセスが難しく、実地確認プロセスのコストがかかかります。
海外保険証の流れ
海外保険調査の手続きの一般的な流れを以下に示します。
- 事故や損害の報告:被保険者が海外で事故や損害を保険会社に連絡します。
- 保険請求の提出:被保険者が保険会社に保険請求書と、証拠書類(医療証明書、事故証明書、被害届けなど)を提出します。
- 調査の開始:保険会社が調査を開始します。保険会社の担当者からの連絡や外部委託の調査員や専門調査会社が調査する場合があります。事故や損害の事実確認、保険金の支払いの妥当性の確認が調査目的です。
- 証拠の収集:調査員が状況確認、関係者の証言、提出書類の真偽確認等を行います。被保険者は、追加の資料や証拠の提出を要求されることもあります。
- 審査と決定:保険会社が調査結果を審査し、保険金の支払い可否を決定します。保険契約の条件や法律や規制に基づいて判断されます。
- 保険金支払い:保険会社が保険金の支払いを承認すれば、被保険者に対して保険金が支払われます。
旅行保険会社への提出書類
以下は、被保険者が保険会社から求められる照会書類の例です。
- 傷病の場合
- 旅行中に受けた医療証明書類(診断結果、処方箋、領収書など)
- 事故による怪我の場合、事故状況や経緯の証明書類または証言
- 盗難または紛失の場合
- 警察の被害届や盗難報告書
- キャンセル、延期、遅延の場合
- 航空機や電車等の延期証明書、予約変更通知書、遅延証明書、旅程表など
日本での保険調査の障壁
国外の保険会社から委託を受けて、日本で、海外旅行保険の調査をする際のよくある障壁について説明します。
保険会社の国際支店間の連携
AXA、Prudential、AIG等多国籍の大手保険会社は世界中に系列会社があります。しかし、被保険者が契約した国の保険会社が保険支払いに対応しますので、保険の調査や支払いでは、各国の系列会社が連携することはありません。例えば、イギリス人の旅行者が日本で事故に会い、医療費の請求をした場合、契約国はイギリスですから、イギリスの保険会社が保険の調査と支払いを担当します。その保険会社に日本での系列会社があるとしても、日本の系列会社の社員が調査を担当することはありません。被保険者はこの点に不満を持つ場合があります。しかし、国境をまたぐ系列会社どうしは、個別案件では連携しないことを覚えておくべきです。
委任状の問題
提出書類の確認や関係機関からの証言取得には、被保険者の委任状が必要です。国外の保険会社の手続きでは、被保険者の委任状として、Singed Releaseという書類が作成されることが普通です。委任者が自身の情報取得の権限全般を持参者に委任するという考え方の書類ですす。しかし、日本では、誰が誰に具体的に何の権限を委任しているかが明確でないと、情報開示されないことが多々あります。更に、委任状が日本語で記載されていないと効力を認めない日本の関係機関も多く、この部分が調査進行上の最大の障壁となります。日本の調査員は、この文化法律障壁を解消するため、保険会社、被保険者、日本の関係期間との間で粘り強い調整をすることになります。
病院での調査
日本の総合病院では、担当医師へのインタビューを申し込んでも、拒否されることが多いです。医療記録のコピーや医療費の領収書のコピーの取得しかできないことが多いです。小規模な病院であれば、担当医師の直接証言が得られる場合があります。保健会社の指示で、担当医師の写真や身分証のコピーも取得するように指示されることがありますが、写真まで撮影されることでとまどう医療関係者も多いです。
事故の状況検証
事故の状況検証では、以下のような障壁があります。
事故現場:商業施設や電車の駅では、事故現場の物理的状況の確認、事故現場を目撃した職員への取材や防犯カメラの映像の取得が求められます。防犯カメラの映像の確認は拒否されることが多いです。事件性のある案件では、警察が防犯カメラの映像を押収している場合があります。事故状況と、その後被保険者がどうなったかについての情報を確認します。
救急車の搬送先
事故が発生すると、警察と救急車が呼ばれます。日本では救急車が税金で賄われているので、皆が気軽に救急車を呼びます。救急者が自己負担の国では、救急車が呼ばれない場合もあります。救急車の管轄の最寄りの消防署です。消防署では、「救急活動処理簿」と呼ばれる証明書を取得できます。この書類は、搬送日時、搬送元の場所、搬送先の場所、搬送者の氏名が証明されます。
警察
警察では、現場検証を担当した警察官に取材します。事件として正式に捜査された案件では、事件調書があります。傷害事件や業務上過失等の要素がない案件は、事件調書は作成されません。その代わり、警察署では、「110番処理簿」という書類を取得できます。この書類が、通報内容や日時を証明します。しかし、外国人の被保険者が日本語で、申請書類を書く必要があり、取得の障壁が高いです。
まとめ
海外旅行保険の調査の流れや、委託を受けて日本で保険調査をする際の注意点を説明しました。被保険者が契約した国の保険会社が保険支払いに対応しますので、保険の支払いでは、各国の系列保険会社が連携することはありません。日本では、病院、警察署、消防署等、事故や怪我に関連する機関は、個人情報を現確認管理しているため、国外保険会社が用意した委任書類では、証言や証明書類の再発行が許可されないことがあります。国際保険案件の保険調査員は、文化法律障壁を熟知し、柔軟に調査を進めていく必要があります。
保険調査のニーズがありましたら、お気軽にご相談ください。