今回のエピソードは、片思いに苦しむ中年男性が、専門家の手を借りて、対価として金を提供することで女性の心を手に入れようとした事例を紹介します。なお、当社が直接関与した案件ではなく、他の探偵業者から聞いた話です。
中年男性の無念の愛
この話の中心人物である男性Aは、47歳で既婚者ですが、妻との関係はすでに断絶の一歩手前にあり、離婚が近いと考えています。男性Aは、かつての同僚である20代の未婚女性(女性B)に深い感情を抱いています。女性Bは半年前まで男性Aの部下で、その後職を辞め、一人暮らしを始めました。彼は彼女に対する恋愛感情を秘めていましたが、職場の立場上、プライベートな交流は避けていました。彼女が職場を去る前、男性Aは彼女の退職について相談を受け、LINEのIDを交換しました。しかし、彼女が職場を去った後、彼女との関係を深めるのは困難だと感じ、それに悩んでいました。その結果、彼は彼女の近況を調査するために探偵社を探し、そこで「復縁工作」というサービスを発見しました。
復縁工作のプロセス
男性Aは、別れさせ屋と復縁工作に長けた探偵社に依頼を出しました。探偵社はまず、女性Bの現状を理解するための基本的な調査を行います。その情報を元に、女性の探偵が偶然の友人になり、男性Aと女性Bの再会の場を設けるという計画を立てました。依頼から約3ヶ月後、女性探偵は女性Bの友人になることに成功し、彼女の詳細な状況を把握することができました。しかし、その後間もなく、彼女が他の恋人がいることが明らかになり、別れさせるための工作が必要だとの連絡がありました。
新たな競争相手の出現
男性Aは、既に自体が深くまで進行してしまったため、別れさせ屋に依頼することに決めました。彼は、彼女の愛を得るためにはどんな手段を使ってでもそれを達成したいと考えていました。すでに150万円以上の費用を支払っていましたが、別れさせ工作を行うためにはさらに1ヶ月あたり約100万円、全体で約3ヶ月間200万円から300万円の追加予算を必要とすると言われました。男性Aの父親もまた、40代後半でフィリピンのホステスと不倫をし、家庭を捨てて出て行った経歴がありました。そのため、男性A自身は親から受け継いだ血が彼の行動を左右していると感じていました。
工作準備の初期調査
分析のために取り組んだ初期調査では、我々は対象女性Bが交際中の男性Cと頻繁に接触していることを確認しました。この観察は約二週間続き、男性Cが一軒家に一人で住んでいること、その家を彼が10年前に住宅ローンを利用して購入し、まだそのローンの返済が続いていることを明らかにしました。さらに調査を深めると、女性Bが男性Cの自宅に転居する可能性が高いことが判明しました。確認のため、調査を一時停止した後、再開したところ、女性Bが男性Cの自宅に完全に移住したことを確認できました。
交際男性の背景調査
女性Bの新たな交際相手である男性Cは離婚経験者で、妻と子供との家庭を失い、住宅ローン残高の一軒家に単身暮らしをしていました。この情報を得た依頼者の男性Aは、男性Cについてさらに詳しく調査することを探偵に依頼しました。これまでに500万円以上の調査費用を投じていた男性Aは、最近亡くなった父親からの遺産を使って調査を継続する意向を示しました。
別れさせ工作に向けた調査
男性Cは独立した内装工事業者であり、その生活スタイルから、我々が彼に女性を接触させる適切なタイミングを見つけるのは困難でした。そのため、別れさせ探偵は、男性Cの背景調査を深化し、彼に対する工作戦略をより具体化することを提案しました。男性Aは、この提案を受け入れ、探偵は男性Cの背景調査を進め、彼が多額の借金を抱えていること、そして彼の妹が風俗デリバリー店で働いていることを発見しました。
匿名アカウントを使用した攻撃
別れさせ探偵は、風俗店で働く妹の写真と店名を匿名アカウントを通じて拡散しました。また、匿名アカウントを使って、男性Cを「借金漬けの離婚歴がある男性が若い女性と同棲している」等と侮辱しました。さらに、男性Cの妹の実名と風俗店での職業、彼女が頻繁にホテルに出入りしている写真などを公開しました。さらに、我々は消費者金融からの催促状を公開し、彼の個人情報を晒しました。男性Aは、別れさ探偵の工作内容の報告をスマホで受けましたが、自分自身が直接攻撃を実行することはありませんでした。
マッチポンプ作戦
時期を見て、男性Aは女性Bに時候の挨拶を装い、LINEで連絡をしました。自身の企業で発生した名誉棄損問題について、それとなく彼女に話しました。男性Aは企業の法務部門に所属しており、法的対応について深い知識を有していました。これを知っていた女性Bは、男性Aが頼りになると感じるはずです。案の定、女性Bは自分が知っている他の人物も同様の嫌がらせを受けているという情報を提供しました。次第に、女性Bは、知人の誹謗中傷被害について彼に頻繁にアドバイスを求めるようになりました。男性Cに対する攻撃が奏功していることは明らかでした。男性Aは彼女が自分に更に依存するように、男性Cに対する匿名による攻撃の強度を上げました。
逮捕と和解
ある日、男性Aが自宅にいる際に、突然警察官が訪れ、彼のパソコンやスマートフォン、文書類を押収しました。男性Aと彼が雇った探偵との全ての通信内容は、押収されたデバイスから明らかになりました。彼はストーカー行為の教唆、名誉毀損、脅迫、迷惑防止法違反の容疑で逮捕されました。また、嫌がらせ行為を行っていた探偵社の一員も同時に逮捕されました。男性Aは速やかに法律家を雇い、被害者との和解交渉を始め、最終的に800万円の和解金で事態を収拾しました。
全てを喪失
しかし、この結果として、男性Aは和解交渉のために職場を長期欠勤し、その結果として懲戒解雇となりました。その後、逮捕された事実が妻に伝わり、彼女によって離婚手続きが進められました。結果的に、男性Aは仕事、結婚生活、子共たち、彼が愛していた女性、そして調査費用と和解金を合わせた約2,000万円の資金を全て失いました。
まとめ
本件においては、男性Aの過度な思考行動と、関与した別れさせ屋探偵の不法行為により、不幸な結末を迎えることとなりました。これは、愛情が金銭によって獲得できるものではないという教訓を私たちに提供します。もし本当に他人を心から愛しているのであれば、その人が嫌がる行動を起こすことは考えられません。過度な独占欲や所有欲は、真の愛情ではなく、単なる執着と解釈すべきでしょう。
Japan PIでは、復縁工作や別れさせ工作には関与しませんが、もし身辺調査のニーズがありましたら対応しています。
身辺調査