バックグラウンドチェックとは?調査目的・内容・流れを解説

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採用プロセスにおいて行われる候補者の経歴や過去の情報を確認する手続きであるバックグラウンドチェックは、採用の意思決定をより根拠に基づいたものにするために重要な役割を果たします。本記事では、違法性や具体的な実施方法を解説します。

バックグラウンドチェックとは?

採用調査のバックグラウンドチェックは、候補者の学歴、職歴、資格確認や、関係機関への照会、犯罪歴、反社チェック、訴訟歴、破産歴、処分歴や信用情報などの確認を指します。雇用者が候補者の情報の信頼性、適格性を確認するための手段です。国際的な採用のBackground Checkでは、学歴、職歴、犯罪歴、信用情報、ドラッグテスト等の適正審査を指します。日本を含むアジア諸国では、バックグラウンドチェックの重要性の認識が遅れ、法整備が遅れていると言われています。

リファレンスチェックの違い

バックグラウンドチェックは、候補者の情報を確認するための広範な調査です。学歴や資格、職歴、犯罪歴、訴訟歴、破産歴、評価情報など、候補者の信頼性や適格性に関連する情報を調査します。リファレンスチェックは、候補者の元同僚等からの評価コメントを得るための調査です。候補者が提供した参照先(直近の前職の上司や同僚など)に連絡を取り、候補者の能力や人間性についてコメントを取得します。

バックグラウンドチェックの目的 

  • 経歴の正確性の確認:採用プロセスでは、求職者の提供情報の真偽を確認する必要があります。学歴や職歴、資格などの情報の真偽確認で、求職者の信頼性を判断することができます。
  • 偽造や詐欺の防止:求職者の提供情報が虚偽である場合や、偽造文書が使用されているかを検出します。不正行為をする候補者を排除する目的があります。
  • 安全性とセキュリティ:特定の職種や業界では、求職者の信頼性や安全性が重要な要素となります。例えば、金融機関や警備業など、機密情報や重要な責任を持つ職務では、バックグランドチェックが必須です。
  • コンプライアンス:一部の業種では、採用時のバックグラウンドチェックが非常に重要です。例えば、弱い立場の人たちと直接接点がある、教育機関、保育施設、介護施設、ベビーシッターの採用では、教育者や保育士や介護士やベビーシッターの採用前に、性犯罪者等の犯罪歴のチェックが重要な意味を持ちます。(日本では、バックグラウンドチェック法令が未整備で、まだチェックが義務化されていません。)

バックグラウンドチェックの効果 

候補者情報の確認:バックグラウンドチェックは、候補者が提供した情報の正確性を確認するための手段です。学歴や資格、職歴などを調査し、候補者の経歴について信頼性の高い情報を得ることができます。

偽情報の発見:バックグラウンドチェックは、候補者が意図的に虚偽の情報を提供していないかを確認するのに役立ちます。偽情報や詐称を発見することで、信頼性のある候補者を選択することができます。

犯罪歴の確認:バックグラウンドチェックは、候補者の犯罪歴の有無を確認するために行われます。雇用主は、従業員や職場の安全性を保つために、信頼できる候補者を選択する必要があります。(日本では、まだ犯歴のバックグラウンドチェックを義務化する法整備が整っていないため、公開情報精査や私的データベースでのチェックしか行えません。)

リスク軽減:バックグラウンドチェックは、雇用主にとってのリスク軽減手段となります。不適切な候補者の選択や情報の不正確さに起因する問題やトラブルを未然に防ぐことができます。

評価コメントの取得:レファレンスチェックや、それに近い手法での調査となります。関係先から、候補者の能力や適正、コミュニケーション能力について、評価コメントのフィードバックを取得します。

バックグラウンドチェックの調査内容

バックグラウンドチェックでは、主に以下の7つの項目について調査します。

1. 学歴 

学歴の調査では、候補者の学歴情報が正確であるかどうかを確認します。卒業証明書の提出を求めるなどをして、卒業した学校や専攻、卒業年度などの情報が一致しているかを検証します。また、学位や資格の有無も確認される場合があります。卒業証明書やTOEIC証明書を偽造する偽造屋が横行しているので、関係先での証明書自体の真偽照会も重要な意味を帯びています。

2. 職歴 

職歴の調査では、候補者が提供した職務経歴書や履歴書の情報を確認します。過去の雇用先や職位、雇用期間、業務内容、退職理由などを確認(前職調査)します。また、前職の雇用主や同僚からの評価情報を取得(レファレンスチェック)を行う場合があります。

3. メディアサーチ 

メディアサーチと呼ばれる手法ですが、インターネットやソーシャルメディアなどのオンラインプレゼンスを調査することで、候補者のオンライン活動やパーソナルな情報を収集します。候補者の公開されたプロフィールや投稿内容、コメント、写真などをチェックし、候補者の行動や言動について評価します。

4. 犯罪歴 

犯罪歴の調査では、候補者が犯罪歴を持っていないかを確認します。履歴書の賞罰欄で自己申告させるのが先決ですが、過去新聞記事やネット記事、関係者への取材、訴訟記録の私的データベース等で、犯罪歴を確認します。

5. 破産歴や信用情報 

官報で候補者の破産歴を確認します。場合によっては、信用情報機関でのクレジットレポートを候補者に提出させ、財務面の信頼性を評価します。

6. 民事訴訟歴 

候補者が過去に関与した民事訴訟の有無や内容を確認します。日本では、最高裁判例は公開情報ですが、それ以外では、メディアサーチ的手法や、私的なデータベース、関係先への取材等の手法で確認します。労使訴訟、契約違反、債務不履行、知的財産権侵害などの訴訟事案がないか確認します。

7. 反社チェック

反社チェックは、候補者が反社会的勢力と関係していないかを調査します。候補者の所属していた団体や組織、過去の関与などを調査し、反社会的な組織とのつながりがあるかどうかを確認します。

これらの調査内容は、企業が候補者の信頼性や適格性を評価するために行われます。バックグラウンドチェックによって、候補者の提供した情報が正確であるかどうかを確認し、採用ミスマッチやリスク管理のため、採用の判断材料とします。

バックグラウンドチェックの流れ 

バックグラウンドチェックの流れの説明

採用時のバックグラウンドチェックの流れは一般的に次のような手順で行われます:

  1. 候補者からバックグラウンドチェックを行う旨の同意を得ます。
  2. 候補者に卒業証明書、資格証明書、退職証明書、年金手帳、身分証明書等の確認に必要な書類を提出してもらいます。
  3. 学歴、職歴、資格、関係先照会などの確認を行います。
  4. 犯罪歴、訴訟歴、反社関与、処分歴、破産歴、メディアサーチなどの情報も収集します。必要に応じて、レファレンスチェックも行います。
  5. 収集した情報を元に、候補者の適格性や信頼性を評価します。

バックグラウンドチェックはどこまで厳しく調査する? 

候補者の経歴や資格等の事実確認と犯罪歴反射のつながり、訴訟歴、破産歴、債務歴等、本人の適性や能力、適格性に関する確認にとどめるべきです。候補者の思想、信条、宗教親族の出身地等の情報まで対象にすると、厚生労働省のガイドラインに抵触してトラブルとなる可能性があります。

バックグラウンドチェックは違法? 

日本において、採用時のバックグラウンドチェックが違法となる場合には、以下のような状況が考えられます。

個人情報保護法の違反: バックグラウンドチェックで候補者の個人情報を不適切に取り扱う場合、個人情報保護法に違反する可能性があります。個人情報の収集や利用には、適切な同意、目的や範囲の明確化、必要な保護措置などが求められます。

差別的な情報の使用: 人種、国籍、信条、性別、障害などの差別的な情報を基にしたバックグラウンドチェックや選考が行われる場合、人権侵害や労働法違反になる可能性があります。人権や平等な扱いの尊重が求められます。

該当法律の遵守: 雇用主は、個別の業界や職種に応じて関連する法律や規制を遵守する必要があります。例えば、金融業界では金融機関法に基づいた信用調査の範囲を守る必要があります。

候補者の同意の欠如: バックグラウンドチェックを行うための候補者の同意を得ずに調査を行う場合、プライバシー権の侵害や法律違反になる可能性があります。

バックグラウンドチェックの拒否は可能? 

候補者は、採用企業からバックグラウンド調査の同意の依頼を受けたとしても拒否することが可能です。

候補者が調査協力をしない場合は、候補者から提供された情報の真偽の確認ができなくなります。企業側は、それであれば、その候補者の選考を見送ると言う選択をする場合もあります。

拒否された時の対処法 

候補者がバックグラウンド調査の同意を拒否したとしても、企業側がその人材をどうしても欲しい場合は、経歴の事実確認をしないまま採用することも可能です。

候補者の調査同意がなくても、メディアサーチやネガティブ記録のみの確認を行う事は可能です。調査同意が得られなくても確認ができる簡易的なチェックのみを実施すると言う選択肢もあります。

企業のリスク管理上許容できないと言うことであれば、バックグラ。ウンドチェックの同意を拒否した候補者を選考から除外すると言う選択肢もあります。

バックグラウンドチェック後の内定取り消しは可能? 

バックグラウンドチェックが行われた後、内定が出ている場合でも、一部のケースでは内定が取り消されることがあります。しかし、内定後は労働条約を結んだ状態になるので、労働契約法を遵守する必要があります。

労働契約法第十六条で「客観的に合理的な理由を欠いた解雇は権利濫用として無効とする」と明記されているように、内定取り消しには合理的な理由が必要になります。

したがって、バックグラウンドチェック後の内定取り消しは可能ですが、その際には法的な規制や倫理的な考慮を遵守し、慎重な判断が必要となります。企業は内定の取り消しを行う場合、関係者との適切なコミュニケーションや適法性の確認を行いながら、公正かつ透明なプロセスを確保することが重要です。

バックグラウンドチェックを依頼する際にかかる費用 

採用時のバックグラウンドチェックの料金相場は、さまざまな要素によって異なります。以下に一般的な料金の目安を示しますが、具体的な料金は個々のサービスプロバイダーや調査内容によって異なる場合があります。

学歴・職歴確認: 1件あたり1万円から3万円程度。

犯罪歴チェック: 1件あたり数万円程度。

前職調査: 1件あたり3万円から5万円程度

レファレンスチェック: 1件あたり数万円程度。

なお、上記の料金は一般的な目安であり、実際の料金は調査内容や調査対象の数によって異なる可能性があります。また、大規模なバックグラウンドチェックや特定の業界や職種に特化した調査では、追加の料金が発生する場合があります。

まとめ

バックグラウンドチェックは、採用プロセスにおいて重要な手続きであり、候補者の経歴や過去の情報を確認することで、採用の判断資料とします。この記事では、バックグラウンドチェックの目的、違法性、および調査方法などについて解説しました。

バックグラウンドチェックの結果は企業にとって重要な情報源であり、正確な情報を得ることで採用ミスやリスクを最小限に抑えることができます。ただし、個人情報の保護や法的な制約に留意しながら、適切にバックグラウンドチェックを実施することが重要です。

当社、Japan PIの採用調査は、バックグラウンドチェックの他にも、学歴・職歴の確認やレファレンスチェックなど幅広い調査項目をカバーしています。もし、何かお困りのことがありましたら、無料相談を承っておりますので、お気軽にお問い合せください。

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