Interview from the radio program of PRI
当社の主任調査員の小山悟郎氏は、2017年2月PRI(Public Radio International)のAlina Simonさんとインタビューを受けました。このプログラムは、フランスのジャーナリストによるノンフィクションの「日本のThe Vanished」に関するものでした。小山氏は、日本の調査業や行方調査の現状についてコメントを求められました。
「フランス人は蒸発する日本人の話題で頭がいっぱいになっている」(PRIラジオ2017年4月25日)
なぜ日本では人探しが難しいのか
日本の厳格なプライバシー法のため、蒸発者や意図的に隠れている人を追跡することはほとんど不可能です。米国とは異なり、日本の行政記録にアクセスすることはほとんど不可能です。民間の調査目的では、個人情報を第三者開示することはありません。ほとんどの蒸発や失踪は民事的問題です。日本の調査会社は刀で銃撃戦を戦うようなものです。
独特な日本のプライバシー法
「 DLAパイパーの世界データ保護法」によれば、
日本のプライバシーに関する法律は、米国や欧州諸国よりも緩いです。しかし実際には、法律は他の西側諸国とは異なる方法で発展してきました。日本政府は、失踪や債務者をほとんど見つけることが不可能となり、詐欺師やホワイトカラーの犯罪者のために聖域を作ってしまいました。民事目的での第三者情報開示を考慮しないまま、情報のブロックの強化のみに重点を置いてきています。
なぜ蒸発者が多いのか
The Vanished という本のように、蒸発者は、社会のひずみによる地下経済のおかげで身分証を持たずに生き延びる:
- 「夜逃げ屋」や失踪者が身分証なしで働いたり宿泊できる地域などの地下ネットワーク(東京の山谷や大阪の釜ヶ崎等)
- その地域は、危険な仕事や違法なビジネスのために「消えた」人々を搾取するヤクザ、日本のマフィアの拠点です。
- 暴力団の資金源のひとつとにもなっていますが、生活保護を乱用した貧困ビジネスがある
- 住民票記録には「職権消除」という正式なステータスがあります。こうなると、行政はその人物に関する情報の記録を一切停止します。
生き恥を晒すなという文化
本書では、「蒸発」や「失踪」は日本の独自の現象であると結論づけています。毎年何千人もの人が行方不明になっています。借金、雇用喪失、離婚、または試験に失敗しただけなど、単に不名誉な問題を背負って生きていくことがしにくい文化的背景が影響しているようです。それが、恥の文化といわれる日本特有の考え方なのかもしれません。