今回は、遠く離れた田舎に暮らす親戚や、連絡が取れなくなってしまった古い友人が気になる方に、安否確認の方法をお教えします。緊急度によって異なる安否調査の種類と方法、調査の難しさを左右する情報について解説しています。
安否の確認だけではなく、特定の人物との再会を望まれる場合は、探偵に人探し調査を依頼することも一つの手段です。戸籍・住民票の活用方法、ネットやSNSを使った自分でできる人探しの方法はこちらの記事にまとまっていますので、こちらもご参照ください。
安否確認の種類
ここで言う安否確認は、生死が心配されるような深刻なものから、音信不通になっていて直接連絡するのは気まずく、元気にしているかを確認したいだけの案件まで、幅広い内容を指します。
まず、災害や事故の安否確認に関しては、警察や行政機関が主に担当します。プライベートな問題で音信不通となった親族や知人の安否確認では、行政機関の支援は原則として得られません。
災害・事件・事故などの場合
緊急事態で安否が心配される場合は以下のような状況です。
- 大規模事故、災害、紛争などが発生した場合
- 事件や犯罪に巻き込まれた場合
- 旅行やアウトドアアクティビティで行方不明になった場合
個人的な事情の場合
災害や緊急事態の安否確認とは別に、長年音信不通であったり、急に連絡が取れなくなったりしたために、安否が心配される場合があります。
親子喧嘩、兄弟喧嘩、過去の感情的なトラブルなどで音信不通になった親族や知人の安否が気になることがありませんか?
一番確実な安否確認の方法は、単純なことですが、分かっている自宅住所や勤務先を直接尋ねてみたりすることです。電話がつながらなかったりするだけでは、転居済みなのか、わざと応答しないだけなのか、固定電話をやめて携帯電話に切り替えただけなのか、真相がよく分かりません。
例えば、病院に入院している知人や親族が退院したかどうかに関しても、現在ではプライバシーの問題があり、電話での問い合わせでは回答を得られません。ただし、直接その病院に行けば、多くの場合、回答を得られます。情報通信が発達した現在ですが、皮肉なことに、現地に直接行ってみることでしか情報が得られないことも多いのです。
対象者に直接連絡を取るのは気まずいが、ひそかに状況を確認してほしいという希望がある場合、探偵業者を雇って安否確認を代行させる方法があります。
また、おおよそ住所は分かっているが、電話が通じず、手紙を出しても返事が来ない親族と連絡を取りたい際など、探偵業者なら、それとなく直接訪問し、状況を確認することができます。
安否確認の難易度
基本的に、確認する場所の立地条件や管理体制によって、安否確認の難易度が変わります。現在は、個人情報の保護が安否確認より優先される時代ですので、知恵を絞って、現場に即した確認方法を選定しなければなりません。
所有者物件居住者
所有物件居住者の方が、賃貸物件居住者よりも確認が容易です。さらに、所有物件居住者の中でも、一戸建て居住者の方が、集合住宅居住者よりも確認が容易です。
また、共同住宅居住者の場合、その居住住宅のグレードによって難易度が変わります。高所得者用のオートロック式マンションでは、居住者の居住状況の確認が非常に難しくなります。一方、低所得者向けの団地のようなところでは、掃除当番や回覧板の伝達などがあり、居住者同士の交流も多く、対象者の居住状況に関して情報が得られやすくなります。
自己所有物件がある人物に関しては、土地建物の登記簿謄本によって、物件の所有状況や所有者の氏名が確認可能です。富裕層で所有不動産物件が多数ある人物の場合、実際にどこに居住している顔確認するのに手間取る場合もあります。
共同住宅居住者
個人情報保護のルールが厳格化された昨今、親族であっても対象者の賃貸契約状況や住民票の登録状況などの確認が出来なくなっています。
例えば、賃貸契約の物件に居住する人物の場合、賃貸物件の管理会社で、その部屋が空室になっているかどうかの情報は得られます。しかし、契約者の指名や身元に関する情報は、保秘義務があるため開示されません。そういう意味で現地確認が重要です。
賃貸物件の居住状況の確認の場合、以下の知識が必要です。
不動産の賃貸契約は、不動産所有者と賃借人の契約ですが、契約形態には以下のパターンがあります。
1.直接管理
客付け不動産会社
↓
所有者
↓ (直接管理)
賃借人
2.管理会社管理
客付け不動産会社
↓
所有者
↓
管理不動産会社(管理会社管理)
↓
賃借人
1に挙げた直接管理のパターンであれば、不動産所有者が賃借人の情報を直接管理しており、賃借人の生活状況をある程度把握しています。また、所有者が直接管理している場合の方が、賃借人についての情報を聞き出しやすいというメリットもあります。所有者が不動産業者でない限り、所有者は個人として特段守秘義務がありません。
一方、2の管理会社による管理の場合、所有者が賃貸借を直接管理していないため、所有者が賃借人の詳細を把握していないことが普通です。しかし、賃借人の詳細を把握している管理不動産会社は、守秘義務が課されているため、安易に賃借人の情報を口外することができません。そのため、対象者の情報を取得する難易度が上がります。
対象者についての情報収集
現地で住居確認をする場合の注意点です。郵便ポスト内の状況をまず確認します。チラシや公共料金の郵便物が山のように溜まっていれば、以下のパターンが考えられます。
- 転居済み
- ほとんど帰宅していない
- 債務逃れのためにわざと郵便物を回収しないようにしている
コンシェルジュ付きのタワーマンションの場合、受付のコンシェルジュが郵便物を受け取るようになっている物件があります。その場合は、郵便物の溜まり方で生活状況を確認する方法が使えません。
契約情報を確認したくても、個人情報保護を理由に情報開示されない為、配達員等を装って、対象者の登録状況をコンシェルジュに聞くしかありません。
対象者についてどこまでわかるか?
社会的ステータスがある人物やITリテラシーが高ければ、公開情報調査を行うことで、最近の生活状況や社会活動についての情報が得られる場合があります。公開情報調査(OSINT=オープンソースインテリジェンス)は、身辺調査の調査手法のひとつです。
住居や就業先を直接訪問して、対象者とコンタクトが取れれるのが一番です。しかし対象者との人間関係の悪化、傷病、精神疾患などで対象者との直接コンタクトが難しい場合もあります。
その場合は近隣者や関係者へ取材し、どういう生活状況であるかを確認することになります。
例えば、高齢で介護施設に入所した場合、自宅住所を現地訪問することによって、対象者と一番親密な親族や後見人などの情報が得られる場合があります。
相談者が直接現地訪問をできない場合は、代理の者に現地訪問させる方法もあります。代理人が所持している携帯電話でテレビ電話会議のアプリ(Zoom等)を使うことで、相談者が、対象者と直接話すことも不可能ではありません。国境をまたいだ案件であっても、テレビ会議アプリに通訳を参加させることで同時通訳による直接コンタクトも可能です。
人探しと安否確認の違い
対象者の所在自体が最初から分からない場合は、安否確認の調査の前に、行方不明者の人探しを行うことになります。おおよその所在は分かっているが、連絡が途絶えて不安な場合に、安否確認を行うという流れです。
基本的には人探しと同じ
現地を訪問したり、その他の情報収集をしても、対象者の所在が確認されない場合は、結果的に人探しや行方不明者の捜索と同じことになります。
安否確認は「生死の確認」が主な目的
安否確認の究極の目的は生死の確認です。しかし、事件・事故・災害などに巻き込まれている可能性が低い一般的な音信不通のケースでも、相手の健康状態や生活状況を確認する為の安否確認が行われます。
認知症や精神疾患、うつ病、傷病などで引きこもり的な生活状況に陥っている人物もあります。そのまま放置していると、健康状態が悪化し、生死に関わる問題に発展する可能性があります。そういった場合、現地確認を中心とした手法で安否確認の調査を行います。
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