年明けの不貞案件で海外調査を検討している人も多いだろう。もしご自身が英語で契約ができるなら、海外の現地探偵社を活用するのも手だろう。現地人しかいない町や交通網が複雑なケースではその国の探偵社に頼るのは有効だ。ここで、海外の探偵社を活用するための最大の注意点を紹介する。
離婚の「有責主義 VS 破綻主義」
日本で離婚を切り出せる条件は配偶者の不貞、悪意の遺棄、行方不明、精神病、その他重大な理由の5点だ。いわばパートナーの責任を起因とするため有責主義と呼ばれ、主に日本・韓国・シンガポールが該当する。そのためこれらの国では不倫を証明するための調査が栄えた。
一方で、欧米の多くは相手の非に関わらず1~3年の別居期間を満たせば離婚可能だ。婚姻の破綻=もう回復の見込みがない状態を重視するため破綻主義と呼ばれる。離婚でわざわざ探偵を雇う必要がないため、欧米、特にアメリカでは保険調査や信用調査が主流となった。つまり、欧米では日本で必要としている探偵がいない。
欧米探偵の傾向
一応、欧米の探偵も浮気調査をすることができるが離婚目的でないため手法は異なる。2名の仲がどれくらいであるか確認するため近くで会話を録音したり、ときにはユーチューバーに扮して取材まで行い、情報収集としての浮気調査だ。
日本の不貞の定義は「2名が同じ室内に一定時間いること」とされるため「建物のドアに入る写真」と「建物のドアから出た写真」が証拠として求められる。だが欧米の探偵はこのようなシーンを撮影する訓練を受けていない。むしろなぜ撮影する必要があるかさえもわかっていない。
具体的に調査ミッションを
・Shooting the scene of entering a building door
・Filming of exiting a building door
と必須項目を明らかにしなければならない。
また、保険系調査に特化した探偵は「重病人が実際はどれだけ長く歩けるか」を記録するため長時間動画を撮影する。不貞の証拠に時間的概念はないのでこうした現地探偵に当たると不利だ。特にハワイ、グアム、サイパンのような米国観光地では飲食街の泥酔トラブルの怪我、国際レンタカーの事故といった保険調査が多いため、日本の有責主義の浮気調査に対応できない探偵は必ずいる。
日本の探偵による独自調査
このような理由から日本人の探偵を海外に派遣する方法が選択肢に浮上する。今ではWAD加盟をアピールし海外調査を宣伝する探偵社が増えたが、どのようにして選べば良いか?海外との連携経験を調べるために「破綻主義の国の探偵は浮気調査が苦手なんですか?」と尋ねてみるといい。「日本の浮気調査に合わせた撮影をしないから移動要員にさせている」「調査業務の入札委託制が盛んなため隅々まで指揮が浸透しない」など独自の体験談が出るはずだ。海外調査は自社完結できる場合もあるが、奥の手として現地探偵社の協力を確保するのは不可欠だ。ここではぐらかしたらアウト、具体的な提携事例がなければ実質日本人だけのガチンコ状態になりかねない。
私はよく当ブログで述べているが不貞にせよ、従業員にせよ海外調査は国内調査に比べ絶好なチャンスだ。不審な思惑を抱く者達は必ず海外で行動を起こす。依頼人のあなたは入念に探偵社を審査してほしい。