今回は、韓国での戸籍制度の変遷の歴史と、2008年に新設された、家族関係登録制度について、解説します。
韓国では、日本による植民地化により、1922年から日本と同様の戸籍制度がありました。ところが、2007年末に廃止され、2008年1月1日から、家族関係登録制度が施行されています。
韓国で廃止され、日本では現存している戸籍制度は、中国伝来の制度で、家族単位での登録であり、封建的な要素が強く残っています。核家族化した現代社会では、戸籍制度の管理は非効率であり、廃止されたのも自明の理です。
本家の中国では、1958年1月8日、戸口登記管理条例が導入されました。これは、戸籍(戸口)という言葉が使われてはいますが、日本や韓国に2007年まで存在していた戸籍とは、全くコンセプトが違う、個人単位の市民管理制度です。
従って、封建的要素が強い家族単位の市民登録である戸籍制度を使っているのは、旧中国文化圏では、日本だけとなっています。
韓国の戸籍制度
韓国では、中国伝来の戸籍制度がありました。1909年に民籍法が施行されました。1910年に日本が韓国を植民地化したとき、民籍法に基づき親族関係の調査が実施されました。
1922年に朝鮮戸籍令が公布され、韓国で本格的な戸籍簿が作成されました。朝鮮戸籍令の戸籍の形式は、日本の戸籍と同様でした。1990年代後半より、戸籍簿の電子記録化が開始され、2002年に、電子化が完了しました。これ以降、韓国のどこの役所でも、戸籍謄本の取得が可能になりました。日本でも、韓国大使館や韓国領事館で、韓国の戸籍の取得が可能です。
2007年12月31日、韓国の戸籍制度が廃止されました。従って、2007年12月31日以前生まれの人には戸籍がありますが、それ以降生まれの人には戸籍がありません。
家族関係登録簿の項目
2008年1月1日から、家族関係登録制度が施行されました。この家族関係登録簿では、従来の本籍が「登録基準地」に変更されました。
家族関係登録簿には以下の情報が記録されており、役所に対して請求をすることができます。
- 氏名
- 改名
- 生年月日
- 本貫
- 登録基準地
- 住民登録番号
- 出生
- 死亡
- 養子縁組
- 婚姻
- 離婚
家族関係に関しては、本人を中心に、両親、配偶者、子供の情報が記録されます。
家族関係登録簿に基づく証明書の取得方法
証明書としては、家族関係登録簿の記載事項すべてが、記録された証明書を取得することはできません。5種類の証明書が用意されており、目的に応じて、必要な証明書を取得することになります。
- 基本証明書(出生、死亡、改名など)
- 家族関係証明書(父母・配偶者・子供の三世代の情報)
- 婚姻関係証明書(婚姻、離婚、配偶者の情報)
- 養子縁組関係証明書(養子縁組の情報)
- 親養子縁組関係証明書(実両親との関係を切断する特別養子縁組の情報)
これらの証明書は、本人や直系親族にしか、アクセス権限がないですが、訴訟、民事執行・保全等の法的津続きで、必要な場合に、第三者制請求ができることになっています。