今回の記事では、ストーカー被害にあったときの相談の流れと基礎知識について簡単にまとめました。「ストーカーかも?」と感じている方は以下の情報を参考にしてください。
ストーカー行為って何?
ストーカー法は、恋愛感情充足目的のつきまとい等の行為を処罰します。
恋愛感情充足目的とは、
- 特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情
- それが満たされなかったことに対する怨恨の感情
を満たそうとすることです。
つまり、異常な執着心や支配欲で、恋愛感情の相手に追いすがるのがストーカーです。
つきまといとストーカー行為の違い
法律の定義では、つきまとい等の行為を繰り返すと、ストーカー行為となります。単発のつきまとい行為だけなら、警察からの警告や都道府県の公安委員会の禁止命令の対象となります。禁止命令を違反したり、繰り返しのつきまとい行為をすれば、禁止命令違反やストーカー行為認定で、逮捕されます。
以下は、ストーカー法上の、つきまとい行為とストーカー行為の違いです。
つきまとい行為
つきまといにおいては、以下のパターンがあります。
- つきまとい・待ち伏せ・押しかけ・うろつき
- 行動監視の示唆
- 面会・交際の要求
- 粗野・乱暴な言動
- 無言電話、連続した電話、ファクシミリ、文書、電子メールの送信等
- 汚物等の送付
- 名誉毀損
- わいっせつ発言・文書送付
- 位置情報の無承諾取得
ストーカー行為
なお、つきまとい等の行為が繰り返されると、ストーカー行為となります。
- つきまとい等の繰り返し
- 身体の安全、住居等の平穏、名誉毀損、行動の自由の不安
ストーカーの相談窓口
ストーカー被害に遭っていると感じたら、まず、警察に相談してください。相手の行為の程度によって、警察からの口頭警告、公安委員会からの禁止命令、自治体のDV・ストーカー支援など密度をもって対応してくれます。
警察
- 被害防止援助(程度が軽い場合)
- 口頭警告
- 交渉代行
- 防犯グッズ貸与
- パトロール強化
- ストーカー行為被疑者の捜査と逮捕(程度が重い場合)
自治体
- 住基台帳支援措置(住民票や戸籍のブロック)
公安委員会
- つきまとい等の禁止命令(期間1年、延長可能)
警察の対処の詳細は以下をご参照ください。
平成十二年国家公安委員会規則第十八号 ストーカー行為等の規制等に関する法律施行規則
ストーカー法の対処と処罰
以下は、処罰が軽い順での警察の対応です。公安委員会の禁止命令は、相手方への聴聞もあり、無条件に禁止命令が出るわけではありません。
- つきまとい等への警察からの警告
- つきまとい等への公安委員会からの禁止命令(ストーカー法5条1項)
- 禁止命令違反+つきまとい等で逮捕起訴(6か月以下の懲役または50万円以下の罰金 ストーカー法20条)
- ストーカー行為で逮捕起訴(1年以下の懲役または100万円以下の罰金 ストーカー法18条)。
- 禁止命令違反+ストーカー行為で逮捕起訴(2年以下の懲役または200万円以下の罰金 ストーカー法19条)
夫婦間でもストーカー法が適用
ストーカー法は、配偶者や元配偶者にも適用されます。離婚を前提に別居している配偶者が、自宅に押しかけてきたりするケースがあります。これも、恋愛感情充足目的で、程度が激しい場合、つきまといやストーカー行為とみなされます。
ただし、配偶者に子供を一方的に連れ去られた案件の場合、恋愛感情充足目的ではないので、ストーカー法は適用されません。
一方、DVが原因で別居になった場合は、ストーカー法というより、DV法が適用されます。DVに関しても、警察が対処します。
警察のDV援助に関しては、以下をご参照ください。
平成十六年国家公安委員会規則第十八号 配偶者からの暴力等による被害を自ら防止するための警察本部長等による援助に関する規則
まとめ
ストーカー法の定義や行政側のストーカー対策は、複雑でやや分かりにくいと思います。今回は、なるべくわかりやすく、定義や対策について、解説したつもりです。
ストーカー加害者の身元が特定できている場合は、すぐに行政側の対策を受けられます。身元がわからない場合は、行政側もするに動けません。
例えば、面識がないのに、通りすがりや勤務先店舗で見かけただけで好意を持たれ、つきまとわれた場合、加害者の身元がわかりません。うろついたときに現行犯でつかまえたり、取り付けられたGPS機材から加害者の身元が判明すればいいです。
そうでない場合、加害者の身元を判明させたい際には、探偵・興信所に依頼する必要がある場合があります。Japan PIでは、ストーカー被害やつきまとい行為などの相談を受け付けています。「これってストーカーかも?」と感じている方はお早めにご相談ください。