逗子ストーカ-からの被害者住所調査
2012年11月6日に、神奈川県逗子市の自宅で、三好梨絵さん(33)が元交際相手の小堤英統容疑者(40)=東京都世田谷区=に刺殺された事件が発生しました。
2012年11月4日、犯人の小堤氏から、当方へ三好さんの自宅調査を依頼するメールが来ましたが、当社はこの相談に違和感を感じ調査を断っていたことが後でわかりました。
(逗子ストーカー殺人犯・小堤氏からのメール引用 2012年10月27日 09:08 PM)
人探しについて見積もりを立てていただきたくご連絡いたしました。
調査して欲しい相手は、私の恩人です。
私が、重度の鬱病を発症して入院した際に、鬱病について無知だった私に鬱病のことを色々と教えてくれたり、親身に相談にのってくれた方です。
幸いにして今では、私も鬱病が寛解して普通の生活を送れるようになりました。
調査して欲しい相手の方のほうが先に退院してしまったので、お礼の手紙をしたためたいと思いこの度は、御社にご連絡させていただきました。
今、私が自殺せずに生きていられるのは、その恩人のおかげだと思っています。
どうしても直接、お礼をしたいので、住所調査を依頼したく、お見積もりをお願いいたします。
私の方で把握している恩人の情報としては、氏名、生年月日、出身大学、以前の勤務先、現在のおおよその住所(神奈川県逗子市小坪)、などです。
お手数をおかけいたしますが、見積もりの方をよろしくお願いします。
依頼者名:小堤 英統(コヅツミ ヒデト)
依頼者住所:東京都世田谷区等々力5-30-4
依頼者電話:09010459460
Email: bitch_shibarie@yahoo.co.jp
不審な依頼内容から調査依頼を断る
当社は、相談内容に違和感を感じ、調査依頼を断りました。もちろん殺人を犯す事まで予想できたわけではありませんが、相談内容と以下列記の確認事項から、危険な匂いを感じ、依頼をうけるべきではないと判断しました。
- フリーメールを使用している
- メールアドレスの@マーク以前が「bitch_shibarie」となっている
- メールのヘッダーがYahoo知恵袋で利用されており、ナイフや殺人犯が死亡した場合でも刑事事件になるか等の質問があった
- 精神病院で知り合った人物の調査という理由はトラブルに発展しそう
相談者の個人情報は、虚偽申告はなく本当の情報でした。
以下は、相談者からのキャンセルメールです。
(犯人のメール引用 2012年11月4日 03:14 PM)
昨日の依頼内容確認通知にしても、そうですけど、
なんだかすれ違いが多くてお互いに嫌な
気分になっていますね。
誠に申し訳ありませんが今回はキャンセル
させていただきます。
捜査開始24時間以上前のキャンセルなので
キャンセル料は発生しないはずですよね。
今回は、色々とご迷惑をおかけしました。
貴社のますますの発展を祈りつつ。
殺人犯からの被害者住所調査を受けた調査業者
当社は、ストーカー殺人犯の依頼を断りましたが、結果的に同業他社が調査依頼を引受けました。そして、加害者は被害者住所の報告を受けた直後に無理心中事件を起こしました。
犯人の生年月日は、1973年11月06日であった為、犯人は、自分の誕生日に無理心中を決行する計画でした。11月4日の段階で、犯人は、11月6日までに確実に結果が出せるか質問していました。
この依頼を受注した元請け調査会社は廃業は刑事責任は受けていませんが、下請けでデータ取得を担当した情報屋は、2013年11月6日に不正競争防止法違反で逮捕され、2015年1月懲役2年6ヶ月執行猶予5年の判決を受けました。
依頼を受ける時のデューデリジェンス
違和感のある相談者には、業者側で自主的に以下のようなデューデリジェンスをするべきです。
- メールアドレス等のメディアチェック
- 身分証明書の提示を受ける
- 偽名・虚偽住所での依頼でないかどうかの確認
- 依頼者に直接結果を通知するのではなく、探偵業者が代理人として対象者に手紙等を出す