今回は、尾行張り込みの基本と、事前準備の方法を公開します。尾行・張り込みは、体を使うスポーツに近い業務ですので、理論がわかっているだけでは意味がありません。実践で体が反応するように、練習を繰り返して体に覚え込ませておかなければなりません。そういう意味で、実務経験の場数や、いかに効率よく練習を積んでいるかが、尾行スキルの品質に影響します。
尾行・張り込みの基本
対象者を尾行・張り込みをするときの基本ルールがあります。最低でも以下を念頭においておくとよいでしょう。
- 絶対に目を離さない
- 頭を見ないで足を見る
- バレたら中断
ツール
携帯電話とビデオカメラが、基本ツールです。
電車やバス移動の際の交通系カード(Suicaなど)も必需品です。携帯アプリのSuicaが、モバイルチャージや新幹線のスマートEXにも連動可能で、必需品です。ただし、新幹線の乗り換え口等や特急券購入機等、カード挿入式のSuica飲みに対応している端末があります。その意味で、カード挿入口に通せないモバイルsuicaは万能ではありません。
乗り物での尾行ならそれぞれ以下が必要です。
- 車両追跡なら車両
- 自転車追跡なら自転車
- バイク追跡ならバイク
※車両追跡でも、都心ならバイクが車両より有効です。
車両の場合、高速道路を移動したときのために、ETCカードも必要です。
自転車追跡では、都心部でレンタル自転車が発達しているため、シェア自転車のアカウントを作成しておく必要があります。地方都市では1日のみの貸し出しに対応したレンタサイクルがあります。折りたたみ自転車を車両に積んで持っていく方法もあります。しかし、調査人員に限定がある場合、自転車は現地調達した方が便利です。
携帯電話やカメラの電池が切れた時の、モバイルチャージャーも必需品です。モバイルチャージャーで充電できるビデオカメラを持っていると、電池切れの不安が解消されます。
また変装用のメガネや帽子や上着(リバーシブルの上着)も持った方がいいでしょう。
長時間の調査になった時に空腹を補うため、非常食を携帯する必要があります。カロリーメイトや一本満足バーなどの乾燥した食料が、かさばらず、重量も軽く便利です。
事前情報の取得
尾行や張り込みを開始する前に、対象者について事前に公開情報から基礎情報を収集することを怠ってはいけません。最低でも以下の作業を行っておくと、調査成功率をあげることができます。
公開情報調査
ソーシャルアカウントやネット情報会員制サイトのデータなどから対象者の移動手段、勤務先、家族構成、活動時間帯、よく行く立ち寄り先、交友関係などが事前に把握できる場合があります。
こうしたメディアサーチをしておけば、対象者の行動が事前に予測でき、失敗を防げる可能性があります。日本では、プロの探偵でもこうしたメディアサーチの技術を磨いていないケースが散見されます。世間はこうしたメディアサーチをネトスト(ネットストーカー)と呼び、ネガティブなイメージを持っています。しかし、探偵の世界では対象者のメディアサーチを行わずに、いきなり現場を開始することは、スポーツで例えるなら、対戦相手のビデオを事前に研究もせず、試合に臨むようなものです。常に準備を怠らずに現場へ入ることが、成功率を上げる必須条件となります。
地理感覚
タクシーの運転手と同様、常に地理感覚を常に磨いておくことに越したことはありません。ただし、国内と世界を視野に入れて、すべての地理感覚を磨くことは困難です。よく素行調査を行う地域の地理感覚だけでも、磨いておきたいところです。歴史的な都市計画や、幹線道路の設計方法を学び、地図を見て都市の概要を研究します。地下鉄や電車のルートを頭に叩き込みます。
ある程度の地理感覚が身に着いた後は、タクシーなどがよく使う抜け道ルートを抜け道マップで研究します。
また、実際にその地域を訪れたときや、現場が終了した後に、周辺を少し歩き回ったり、車両で走り回って風景を覚えておくと、何かの時に役立ちます。
探偵はこれらの基本作業を一通りマスターしております。日々の積み重ねや技術の研究により、調査成功率をあげることができます。そういった成功例の多い興信所を選ぶためのポイントをまとめております。