素行調査を依頼する場合、内容によっては周りに相談しづらいケースがあり、提示された料金について不安になるかもしれません。探偵を雇う際の費用、プラン別料金相場や、費用を比較する際に注意したいポイントを解説します。
素行調査のプラン別料金相場
探偵の素行調査(=行動調査)では、通常、複数の調査員が休みなくその案件に従事する労働集約型の業務です。調査員の活動は、深夜早朝・休日出勤や、長時間労働となることが多々あります。その意味で、素行調査の料金は、原則、従事した時間や日数に応じて課金されます。
探偵業者の素行調査の料金体系としては、以下のパターンがあります。
- 時間料金制
- パック料金制
- 成功報酬制
時間料金制
時間料金制は、探偵が行動調査を行う時間に応じて請求される料金体系です。この料金体系では、探偵が調査を開始する前に事前に報酬額が合意され、実際に調査が行われた時間に基づいて請求が行われます。
時間料金制は、短期間の調査や状況に応じて延長依頼をする可能性がある場合に適しています。ただし、調査が長期間にわたる場合には、予想外に高額料金となる可能性があります。こまめにそれまでの料金を確認しておく必要があります。
最低稼働時間の制限
短時間で終了する案件でも、最低の基本時間料金が設定されていることが普通です。
例えば最低の基本時間が4時間とか、6時間と設定されていることがあります。この場合は行動調査が1時間で完了しても4時間分の料金課金となるという意味です。
長時間のパック料金制
パック料金制は、調査期間を限定し、料金総額をあ予め設定して、調査を行う料金体系です。パック料金制は、総額料金が最初からわかっている部分は安心です。またあ、パック料金の方が従量課金制より時間単価が低くなっておる場合があります。
予想より短時間で解決した場合は、重量課金制より高くなる場合があります。一方で、予想より長時間かかって解決した場合は、時間料金制よりも費用が低料金になる場合があります。
ただし、素行調査(行動調査)は、調査員がマニュアルワークで提供するサービスですから、時間単価を下げるにしても限界があります。過当競争で低単価のサービスを提供しようとっすれば、サービス品質の低下につながります。パック料金制と言っても、料金算出の基準は従量課金制です。
例えば、8時間を1日の稼働時間と設定し、8時間以内の行動調査を1日料金としている業者もあります。また、7日間連続の旅行者の行動調査であれば、7日間の料金として90万円などと見積もりをする業者もあります。
このよううに定額のパック料金制といっても、条件付きです。1日定額10万円となっていても、1日8時間以内の条件がついていれば、1日で8時間を超える調査となれば、延長料金が発生します。
成功報酬制
成功報酬制は、調査の成功に基づいて報酬が支払われる料金体系です。成功報酬だけで契約するパターンと、着手金と成功報酬の二本立てのパターンがあります。
弁護士であれば、基本報酬の着手金と成功報酬の二本立ての料金設定が普通です。弁護士の成功報酬は、依頼者の経済的利益に比例して受けられる仕組みになっています。
一方、素行調査ジャンルでの探偵の成功報酬は、少し意味が違います。探偵業界は、需要が少ないにもかかわらず、業者数が多く、常に過当競争です。完全成功報酬を売りにすれば、業者側のスキルレベルが高いことをアピールできます。また、結果が出なければ無料のセールスフレーズを使えば、他社より顧客を獲得しやすくなります。
つまり、素行調査ジャンルでの探偵の成功報酬制は、営業戦略が元になっています。その意味で、完全成功報酬制といっても、様々な条件が設定されていて、実際には、消費者が思う成功報酬制とはズレがあったり、成功報酬制の方が時間料金制より高額になってしまう場合があります。
特に、その調査で何を成功の基準とするかを明確に定める必要があります。予想外の状況になった時、成功の基準が曖昧だとトラブルの元となります。
素行調査の業務品質、探偵調査員のスキルレベルには、差があるのは事実です。しかし、それだけではありません。調査の成果には、以下の要素が複合的に影響します。
- 調査員のスキル
- 立地や交通情勢
- 対象者の警戒度
立地的に素行調査が困難な状況としては、以下のような状況があります。
- 調査対象者が出入り口が5箇所以上あるような巨大なスタジアムに入った場合
- 対象者が急にタクシーに飛び乗り、後続するタクシーもなく、調査車両の改装も間に合わなかった場合
- 対象者が無謀運転をしていて、交通違反をしないければ追跡できない状況の場合
- 調査対象者が警戒していて追跡されていることを気づきかかっている場合
完全成功報酬としている探偵に素行調査を依頼する場合は、以上のような現実を踏まえ、隠れたからくりがないかよく見極めなければなりません。消費者側もうますぎる話に安易に乗らないよう注意が必要です。
成功報酬が流行った背景
多くの探偵業者にとって、浮気調査は目玉商品です。日本では探偵業に資格制度がないため、興味本位で参入する人たちが多いこともあり、探偵業は常に過当競争の状態にあります。
そのような状況の中で、「完全成功報酬制で対応します」という業者が現れました。そうすると、他業者も対抗して似たような広告を出すようになりました。
企業活動として捉えた場合、人件費は、結果の如何に関わらず発生するのが普通です。もしあなたが雇用される側の立場だった場合を想像してみてください。業務が成功した時のみ給料を支払うと求人広告で記載している会社に、就職したいと思うでしょうか?
「建物の中にいる人物が外出した時に撮影できた場合を成功とする」、このような案件であれば成功報酬もあり得ると思います。
しかし、「『浮気の証拠』が取れた時のみ、成功報酬を課金する」という設定は、現実的にはありえないということをご理解ください。探偵を雇う際には、何をもって成功報酬としているか吟味が必要です。
調査員の人数
素行調査の1名あたりの時間単価はばらつきはありますが、1時間5000円から1万円の間が相場です。
日本では、調査員を必ず2名一組で活動するというのが常識化しています。警察の事件捜査でも、複数の捜査員が現場に出向くことが慣習です。探偵業者も伝統的にそうした概念をコピーしているものと思います。
探偵業者によっては、調査員の増員を無理に勧めて、料金単価を釣り上げるケースがあります。
実際に、調査員を3名や4名使うと成功率がアップする案件もあります。例えば、出入り口が3箇所ある大規模建築物を監視する場合や、対象者がタクシー、送迎車、自家用車等どのような交通手段で動くが一定していない場合等です。具体的には、大企業の役員や有名人やVIPの行動調査の場合は、調査員を3名とか4名に増員した方が業者としてはやりやすいです。ただし、そうでない人物の場合は、おおよそ調査員2名体制で対応が可能です。
業者によっては、本当はそういった必要がないのに、調査員を増員することを無理にすすめ、料金単価を釣り上げようとしてくる営業マンもあります。
業務上本当に必要なのかどうか、営業マンの営業トークで調査員の増員、つまり、行動調査の時間単価の割増をすすめられていないか、相談者がよく見極める必要があります。
素行調査の料金を安くするには
上述したように行動調査は、ハンティングゲームのような要素があり、いつでも100%の成功が見込めるものではありません。
調査依頼の最初の段階で、「依頼者が調査に必要な情報を探偵業者に出せるかどうか」が重要なポイントとなります。
質の良い情報をスムーズに共有することができれば、調査費用を抑えることができるでしょう。そのために、事前情報を充実させておく必要があります。以下では、その具体的な説明をします。
開始場所はどこか
基本的に行動調査の場合、開始場所を指定して、調査員が対象者を見つけ、追跡を開始します。「開始場所が監視しやすい場所かどうか」がまずポイントです。
例えば、勤務先からの調査開始で、監視場所のビルから多数の人物が出入りするかどうか、大規模な商業施設高層マンションなどで何箇所も出入り口があるのかどうか、など場所によって調査の難易度は左右されます。
場所の状況を事前に把握しておくと、成功率が上がります。
対象者の容貌や身辺情報の有無
また、対象者の写真があるのかどうかもポイントです。対象者の古い写真しかない場合は、特定が難しくなります。依頼者が、対象者の当日の服装や持ち物などを探偵業者に通知できるかどうかもポイントです。
行動調査では、間近で顔をじろじろ見れません。調査員は、離れたところから一瞬顔を見るだけで、対象者を見分けなければなりません。顔写真だけでの人物特定は容易ではありません。当日の服装や鞄の特徴があると、非常に特定しやすくなります。
また交通手段は何を使用するか、ということもポイントです。自家用車で外出するのか、敷地内から自転車で出るのかなどの交通手段の種類によって、調査方法も変わってくるからです。
例えば、対象者が送迎車両の後部座席に乗って、開始場所から出る場合などは本人特定が非常に困難になります。そうした場合は、本人の送迎車両の特徴を、依頼者が調査員に通知できるかどうかがポイントになります。
そういう意味では、依頼者と対象者の関係性も調査依頼の効率性に影響します。依頼者が対象者と同居の家族であれば、依頼者が対象者について詳細を伝えることができます。
例えば、業務の取引相手の役員の調査を依頼する場合などは、対象者についての情報が事前にあまり揃っていないことが普通です。したがって、そういう場合では、同居の家族の調査に比べると料金が高額化する場合が多いです。
同居の家族の調査などの場合であれば、財布の中のレシートや、携帯電話のログ、PCのログ、カーナビのログなどを事前にチェックすると、対象者の行動パターンを事前にある程度把握できます。
そうした情報を依頼者が探偵業者に細かく通知すれば、無駄な調査時間を抑えることができますし、行動調査の成功率をアップさせることができるでしょう。
※取引先の役員などの調査であれば、事前にソーシャルメディアやオンライン情報のメディアサーチを行なったり、関係者へそれとなく聞き込みをすることで、交通手段やおおよそのスケジュールなどを把握できる場合があります。不自然な聞き込みをすると、対象者を警戒させてしまう可能性があるため、聞き込みをする際は十分注意してください。
同居の家族の調査であっても、無理して不自然に質問をしすぎると対象者がやはり警戒する可能性があります。事前の情報は多ければ多いほど良いのですが、不自然な手法で情報取得を依頼者が行うと、かえって行動調査自体がうまくいかなくなる危険性はあります。
まとめ
これまで説明した通り、行動調査はルーティンワークではなく、業務を遂行する際に様々な障害を乗り越えなければならない特殊業務です。依頼者は、そうした特性を理解し、司令塔としてプロの調査員をうまく活用する戦略家である必要があります。
依頼者が会社の経営者であったり、管理職であったり、スポーツの司令塔をした経験がある方であれば、調査プランをうまく組み立てることができると思います。ただし、探偵の行動調査員がどのような業務を行っているか、また行動調査の特性について事前に理解する必要はあります。
実生活の中で人材を使いこなすような必要性のある環境になかった場合、依頼者は探偵業者のケースマネージャーとじっくり相談し、適切なアドバイスを受けて、計画を立てる必要があります。
探偵業者も営利目的で活動しています。全ての業務を探偵業者に任せきりにすると、不必要なサービスまで購入させられてしまう懸念があります。
あくまでも依頼者が、事前準備で自分でも具体的な調査計画を立てる努力をすることにより、調査費用を抑えて効率良い調査ができる可能性が上がります。
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