素行調査において対象者がよく車を使用する場合は、調査員も車両で尾行する必要があります。今回は具体的な方法をシチュエーション別にお伝えします。
車両追跡の注意点
対象者の車両を作業で追跡する場合、対象者からただ距離を長く取るということではなく、近くにいても対象者に威圧感を与えないようにすることが重要です。
対象者との距離感
近づき過ぎて、結果的に煽り運転になってしまうと対象者が尾行に気がつきます。適度な距離を取り、スムーズな運転を心がけます。
静電気で綿ぼこりが周りに付着しているようなイメージで追跡するのがベストです。対象者が車線変更してもすぐに同じ動きをせずに、しばらく間を空けて自然に車線変更します。加速や減速するときも急な動きは避けましょう。不自然な動きをすれば対象者側の目に入り、警戒されやすくなります。
運転手の変装と交代
対象者の心理としては、信号待ちの時に後方の車両の人物をチェックしたりすることがあります。長時間追跡を行う場合、運転席の調査員が帽子やメガネ上着の変更などで印象を変えることもテクニックの一つとなります。調査員が複数いる場合は、途中で運転を交代したりすることも効果的です。
車両ライトを使用する際の注意
夜間の暗い道路の場合、ヘッドライトやブレーキランプで目立たないための注意も必要です。対象者が前方で停車した時、調査員はヘッドライトを先に切り、サイドブレーキでブレーキをかけます。そうすると、ブレーキランプが赤く光ることがありません。
夜間の場合、対象者が車線変更した時、調査員の車両はヘッドライトを一瞬切ってから車線変更することをお勧めします。そうするとルームライトに光がよぎらず、後方の車両が同じように車線変更したことに気づかれません。
複数台での調査
2台以上の車両を使用して追跡できる場合は30分毎などで、前方で直接追跡する担当車両を入れ替えることも効果的です。
調査員が2名で車両追跡できる場合、助手席の調査員は対象者が停車して、徒歩で移動した時すぐに対応できるための徒歩要員の役割をします。対象者が交差点を、曲がり調査車両が信号に引っかかった場合、徒歩要員が即座に車両の外に出て対象者が次に右左折するのか直進しているのかを目視して確認します。対象者が車両乗り捨てて、徒歩で移動した場合、徒歩要員の調査員は追跡開始し、対象者が再度車両に戻る時に車両班に連絡します。
赤信号の注意点
直線的な幹線道路であれば、信号は進行方向の奥から手前に向かって順番に青から赤へ変わっていきます。ですから、直線道路の場合、出来る限り進行方向の奥に見えている信号に注意します。一番遠くにある信号が黄色に変わった場合、自分に一番近い信号もすぐに赤に変わります。ですから、一番奥の信号が赤に変わった場合、調査員は対象者車両との距離を近づけなければなりません。
立体パーキングでの注意点
ショッピングモールの立体パーキングに入った場合は、対象者と一緒にパーキングに入らないと、対象者が車両から下車するところが確認できなくなります。店内の徒歩移動の様子を観察する必要がないのであれば、時間をあけてパーキングへ入り駐車位置を確認するだけでも構いません。ただし大規模なショッピングモールの場合、出入り口が複数ある場合があります。対象者がタワーパーキングへ入っても、気が変わりすぐに反対の出入り口から出てしまう場合もあります。施設の規模の大きさなどによって臨機応変に対応するべきです。
立体パーキングの出入り口に空車満車の表示が出る場合があります。その表示も見逃さないようにしましょう。満車となっているのに、対象者がそこへ入った場合、対象者が満車であることに気づかず入ってしまった可能性があります。そうすると対象者はすぐに別の出入り口から駐車場を出てしまう可能性があります。
発車時の注意点
パーキングから出る時の車両追跡には注意が必要です。対象者より先に精算を済ませないと、ゲートで出遅れてしまいます。可能であれば、対象者車両の前に出て、先にゲートで生産するか事前精算をしておく必要があります。
パーキングからの出入口が複数ない場合は、パーキングの外で待機した方が無難です。
抜け道の確認
対象者に抜け道から大通りに出て黄色信号を突っ切られると、尾行が途切れてしまいます。地理感覚を磨き、抜け道を走行しているのかどうかを意識して距離の調節をする必要があります。代表的な抜け道であれば、対象者も後ろから同じ車両が付いてきても気にしない可能性が高いです。
抜け道でなくても、細い道路から大きな幹線道路に出る瞬間の信号で引っかからないように注意しましょう。路地を走行していても、幹線道路がいつ目の前に出てくるかを常に意識します。
高速道路の ETC カード
対象者の車両がいつ高速道路に入るか分からないので、レンタカーを使用する場合 、ETC カードを挿入しておくことを忘れないようにしましょう。
高速道路でもまだ現金しか対応していない区間がたまにあります。それも想定して、小銭や千円札を用意しておく事も重要です。
対象者のバイクを追跡
対象者がバイクで移動する場合、調査員もバイクを使用しなければなりません。郊外や田舎でない限り、バイクで移動する人物を車両で追跡することはほぼ不可能です。
バイクは小回りが利くためバイクを追跡する場合は最大限の集中力が要求されます。
自転車追跡
対象者が自転車で移動する場合は、尾行する人間も自転車を使わざるを得ません。昨今はレンタル自転車が普及しているため、自転車を現地調達できる準備をしておきましょう。どうしてもレンタル自転車が用意できない場合は、折りたたみ自転車などを車両で運びます。
自宅を割り出す調査の場合、対象者が最寄り駅に到着した後、駐輪場に停めている自転車に乗る場合があります。想定外の場所で自転車に乗られてしまった場合は、走って追跡するしかありません。荷物があると速く走れないため、鞄を草むらなどに隠して、手ぶらで走って追跡します。
GPSトラッカー
GPS トラッカーを合法的に装着できたり、Find My iPhone などの携帯の捜索機能を使用できる場合は、GPSトラッカーを併用した追跡が効果的です。
特に、1分以下の間隔の自動検索機能が付いているGPSトラッカーを併用した車両追跡であれば、対象者から死角の位置で追跡を継続できます。
まとめ
素行調査をする際、車両での追跡は難易度が高まり様々なスキルや経験が必要となります。効率よく調査をすすめるために、興信所を選ぶ際の注意点や流れをこちらで説明しております。